平成15年度税制改正に関する緊急要望

 

 

 現下の地方財政は、大幅な税収の落ち込みに加え、累次の景気対策の実施等により、危機的な状況が続いており、今後、一層深刻になることが憂慮されております。一方、地方分権の推進など、地方自治体の役割はますます重要となってきている中で、増大する行政サービスのニーズに応えていくためにも、地方税財源の充実確保は地方自治体にとって極めて重要な課題であり、平成15年度税制改正に当たって、下記の事項につきまして、特段のご配慮を賜りますようお願いいたします。

 

 

 

1 法人事業税への外形標準課税の導入は、地方分権を支える基幹税の安定化、応益課税としての税の性格の明確化等の観点から、長年にわたり切望されてきたところである。政府税制調査会の「あるべき税制の構築に向けた基本方針」や経済財政諮問会議の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」においても、導入の必要性が示されているところであり、中小企業の税負担の取扱いに十分配慮した上で、全国的な制度として、平成15年度からの導入を図る必要がある。

 

2 固定資産税は、市町村税収の約半分を占める安定的な「基幹税目」であるが、地価の下落等により、現行制度の下においても減収となることが見込まれている。その上、もし減税が実施されることとなれば、市町村の行財政運営に多大な支障が生じることから、負担水準70%を堅持するとともに、一層の安定的確保を図る必要がある。

 

3 不動産取得税は、都道府県の貴重な財源となっているだけでなく、住宅建設促進や不動産取引の活性化を図る観点から、これまで、減額措置の対象拡大など、土地の流動化に向けての税制上の措置は、既にとられていることから、現行制度を堅持する必要がある。

 

 4 特別土地保有税は、未利用地の有効活用を促進するために創設された税 であり、制度上、徴収猶予・納税義務免除制度等様々な形で納税義務者の税 負担を考慮した措置がとられている。また、土地の流動化の阻害要因となっ てはおらず、逼迫する地方財政にとっては、貴重な財源であることから、現 行制度の維持を図る必要がある。

 

5 事業所税は、都市地域における行政サービスと事業所等との受益関係に着目し、都市環境の整備及び改善に関する事業に要する費用に充てるための目的税であり、都市再生事業を遂行するための貴重な財源である。また、免税点制度により、納税義務者の負担にも配慮されており、都市基盤整備等の都市再生を進めていくためにも、現行制度の維持を図る必要がある。

 

6 ゴルフ場利用税は、ゴルフ場の所在する地方公共団体にとって、貴重な財源である。ゴルフ場に関連して、地方自治体は、道路の整備・廃棄物の処理など、様々な行政サービスを行っていることから、そのための負担は必要である。また、高齢者のプレーや学校教育等については一定の軽減措置が講じられるなどの配慮がなされている。これらの理由から、ゴルフ場利用税は現行制度の維持が必要である。

 

 

  平成14年10月30日

           全国知事会会長

            埼玉県知事 土 屋 義 彦

           埼玉県市長会会長

蕨市長  田 中 啓 一

           埼玉県町村会会長

                         嵐山町長  関 根 昭 二