2 不法投棄対策の強化について

【名栗村長発言要旨】
県内のごみの処理については、昨年の町村長会議の席上、ゴミゼロの共同宣
言を決議するなど、県、市町村一体となって取り組みを強化し、成果をあげている
ことはご同慶の至りでありますが、まことに遺憾なことに、大型ごみから廃土、残土
まで、不法投棄をする不心得者はあとを絶たず、監視を緩めると森林と言わず農
地と言わずたちまち廃棄物の山が築かれる状況であり、原状の回復に大きな労力
と莫大な費用を要することになります。
豊かで健全な自然環境を維持し、重要な生産の場でもある山林や農地を守るこ
とは、我々地域を預かるものとして極めて重要な責務であるとの認識にたって目々
努カをいたしておりますが、広大な森林地域や農地などの隅々にまで、常時監視
の目を光らせて行くことは不可能に近く、また権限上、行政指導にも限界があるな
ど、対応に苦慮いたしております。
とくに最近は、林道深く大型の電器製品などさまざまな不法投棄をするものがあ
とを断たず、このため私の村では月2回、全職員がパトロールを行うなどして監視
をいたしておりますが、まさにいたちごっこというような状態であり、発見した不法廃
棄物の搬出などにも多額の費用と労力を費やしております。
改めて申し上げるまでもなく、県西部の森林は、洪水対策など県土の保全に始
まり、水源の酒養や首都近郊にあって都市住民に憩いと潤いをもたらすなど環境
政策上も大きな役割を担っています。
このように重要な森林地域を不法投棄から守るため、是非とも県当局の積極的
な対応をお願いしたいと思います。
県においては、先に業界団体との連携のもとに「けやき基金」の拡大を図られる
など積極的に取り組まれており、町村長としても大変心強く存じますが、廃棄物の
不法投棄の根本的な解決には、監視体制の確立はもとより、あらたな法の整備を
含め、とくに警察当局の積極的な取り締まりなどが重要であると思われます。
つきましては、森林地域を含めて、廃棄物の不法投棄に対して、どのような具体
策を考えておられるか、改めて県の考えをお聞かせください。


【環境防災部長発言要旨】
県では、廃棄物の山問題の解決のため、昨年7月に、西部、北部、東部の各環
境管理事務所に監視専従職員を配置するなど、組織体制を強化し、不法投棄の
防止などに全力で取り組んでおります。特に、山林や雑木林等人目に付かない地
域については、行政による監視はもちろんのこと、警備会杜への委託による早朝・
夜間パトロールを実施しているとごろです。
また、各環境管理事務所ごとに、関係各部局、市町村、警察本部などで構成す
る「合同不法投棄等対策会議」を設置し、廃棄物の違反情報や農地転用許可情
報を共有化するなど、より効果的な監視パトローノレ等の実施を図っております。
さらに、昨年12月からは、市町村職員が産業廃棄物の不適正な処理などを行
っている現場に直ちに立入指導できるよう、市町村と一体となつた監視体制の一
層の強化を図ったところであり、本年3月には、東京電力(株)埼玉支店との間に、
不法投棄の情報提供を求める協定を締結するなど、民間との連携体制の整備も
進めております。
県内では、大規模な不法投棄は減少しつつあるものの、廃棄物処理費の高騰、
処分場の不足など、廃棄物を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。
今後とも、関係各部局、市町村、警察本部などの関係機関との連携を密にして、
民問機関の協力も得ながら、これ以上、ごみの山をつくらせないため、また、現在
あるごみの山一つでもなくすため、不法投棄等不適正処理対策の充実強化を図
ってまいります。
また、空き缶や吸い殻などの散乱由止につきまして、昨年の町村長会言琴におき
まして、各町村長の皆様の御賛同をいただき、町村会と県で行いました「ごみのな
いふるさと埼玉を実現するための共同宣言」を契機に、「ごみの散乱防止を進める
ための知事ラジオメッセージ」を町村会、市長会と県が共同で放送したほか、すべ
ての市町村におきまして、市町村と県とが合同で清掃活動を実施するなど、散乱
防止に向けた取組を進めてきたところです。
とりわけ、市町村と県、合同の清掃活動にっきましては、県内全ての市町村に
県が派遣いたしました「彩の国ごみゼロ推進隊」と、各市町村の職員及び地元住
民の皆様が協力して、延べ63目間、212か所の清掃活動を実施いたしまして、約
87トンのごみを回収しました。
こうした、市町村と県との取組が散乱防止に向けた機運を盛り上げ、平成14年
度の県内の清掃活動全体では、延べ100万人近い県民の方の御参加をジただ
き、ごみの回収量も約1,800トンにのぼるなど、大きな成果を収めることができま
した。
今後とも、県内から散乱ごみを一掃するため、県民、事業者・市町村及び県が
一体となって総合的なごみの散乱防止対策に取り組むr彩の国ごみゼロ県民運
動」を推進してまいりますので、一掃の御協力を賜りますよう、重ねてお願いいたし
ます。
【警察本部長発言要旨】
県警察としては、警察運営の重点施策に「環境関係事犯の根絶」を掲げ、
悪質な事犯に重点を指向して取締りを推進しております。このため、「環境
犯罪110番ファックス」を警察本部に設けるなど、県民に対して情報の提供
を呼び掛けるとともに、知事部局に警察官8人、さいたま市、川越市に各1
人の合計10人を出向させるなどして、知事部局、関係市.町村と緊密に連携
を図っています。
取締り状況でありますが、昨年は環境犯罪対策室を中心に生活安全特別捜
査隊の応援を得るなどして体制を強化し、40人を逮捕し176件、175
人を検挙しておりますが、これは前年に比べ約60%の増加でありました。
主な事件としては、久喜市内の住宅地に産業廃棄物が山積された事犯があり、
捜査は難行しましたが、被疑者を逮捕し、現在、裁判中です。平成12年の法改正
により罰則が強化され、また、警察としても、積極的に悪性を立証する努力をして、
執行猶予付きではありますが懲役刑が科せられる傾向にあり、取締りの威嚇力も
高まり、大規模な不法投棄事犯は減少しつつあるものと考えております。
県警察といたしましては、引き続き、知事部局や関係市町村と緊密に連携
を図り、県民の理解と協力を得ながら、悪質な事犯に重点を指向して取締り
を強力に推進してまいります。