1 地方分権の推進について
 
 変貌する社会経済情勢の下で、我国は大きな構造的変革を求められてきており、多様で魅力ある地域社会を自立的に築きあげるためには、地方分権を着実に推進していくことが極めて重要な課題であります。
 つきましては、地方分権の推進を図り町村の自立に向けた取り組みを進めるために、次の事項について国に要望されるようお願いします。
 
(1)地方税・地方交付税など一般財源が充分確保できるよう、必要な措置を的確に講じること。
 
(2)具体的な税源移譲にあたっては、町村は人口、従業員数ともに少なく、税源移譲の効果が十分に及ばないことが懸念されるため、町村の実情を考慮し、配分基準の見直し等についても、併せて検討すること。
 
(3)事務、権限の移譲を着実に進めること。
 
(4)いかなる形であれ、市町村合併を強要することのないよう十分に留意すること。
 あわせて、住民に最も身近な町村の充実のため次の事項について要望します。
ア)彩の国分権推進交付金については、引き続き町村が真に必要とする額を確保すること。
イ)県補助金の整理合理化にあたっては、地方財源の充実確保が達成されるまでの間必要となる額を確保すること。
ウ)財政的支援にとどまらず、人的支援等についても引き続き積極的に推進を図ること。

2 地方財政の充実強化について
 
 地方分権の実現を図り、町村の自立に向けた取り組みを行うためには自主的な財源を確保することが、町村にとって必要不可欠であります。
 一方、町村にとっては、課税自主権の活用によって税源を確保することには大きな限界があるのも事実であり、その意味から地方交付税はきわめて重要な一般財源となっています。
 国が法令等で実施を義務付けている事務や、国から地方への税財源の移譲を議論することなく地方交付税の総額を一律に削減するようなことがあってはなりません。
 つきましては、次の事項について、国に要望されるようお願いします。
 
(1)町村が安定した財政運営ができるよう、地方交付税所要額を確保すること。
 また、地方交付税は地方固有の財源であるので、その制度のあり方について検討する場合は、町村の意見を十分踏まえること。特に、スケールメリットが働きにくい町村の行財政運営に支障をきたすことのないよう配意すること。
 なお、段階補正について、これ以上の縮減は行わないこと。
 
(2)税源の偏在による財政力の是正および一定の行政水準の確保をはかるため、財政調整機能および財源保障機能は、極めて重要であるので、基準財政需要額の算定にあたっては、町村が人口割合に比べて広い面積を有し国土保全に果たす役割などを十分考慮し、面積要素を加味するなど人口を中心とした配分基準を是正すること。

3 合併支援対策について
 
 平成17年3月の市町村合併特例法の施行期限を目指して、現在多くの市町村が合併について検討しております。国は市町村合併の成果が得られるよう、合併推進に関する諸事業を支援するとしておりますが支援策は具体的に早期に実現できるものが少なく、関係市町村に直接メリットのある事業は見つけにくいのが実情です。
 つきましては、県が実施する合併支援プランについて、合併重点支援地域に指定された関係町村に対して、早期に具体的な施策を明確にするとともに、それらの諸施策をすみやかに着手されるよう要望します。また、合併重点支援地域に対して支援等採択要件の緩和や優先採択の枠を設けるなど、具体的に実施されるよう要望します。

4 くにづくり総合助成制度の充実について
 
 くにづくり総合助成制度は、県民に最も身近な市町村が主役となって実施する環境整備や住民の利便性の向上、個性豊かな地域づくりのため、有効に活用されているところです。
 しかしながら、平成15年度は、全体で4億4千万円の減となり、その中で特に町村が必要としている「くにづくり助成金(一般分)」が新規事業の増加にもかかわらず、前年対比マイナス3億円となったところです。
 つきましては、県におかれましても厳しい財政状況の中ではありますが、16年度の県予算におきましては、15年度予算額が維持されることを強く要望するとともに、さらに活用しやすくなるよう制度の充実を図られるよう要望します。

5 ペイオフ凍結解除後における地方公共団体の
  公金預金の保護について
         
 
 ペイオフの凍結解除(定期性預金は平成14年4月から凍結解除)については、「預金保険法及び金融機関等の更正手続きの特例等に関する法律の一部を改正する法律」が公布され、当座預金及び普通預金等の流動性預金は、平成17年3月まで全額保護されることとなりました。
 しかしながら、それぞれの地方公共団体において、公金預金の保護方策について適切な方策がたて難いことから、預入先の金融機関が破綻し公金預金が喪失した場合には、当該団体の行政執行に重大な支障を及ぼすばかりか、地域経済と、住民生活に多大な影響を与えることになります。
 よって、国に対して、地方公共団体の取り扱う公金預金について、ペイオフの凍結が解除される平成17年4月以降も、引き続きその保護のための必要な措置を講じることを要望されるようお願いします。
 また、金融機関の破綻により金融システムの安定性が損なわれることがないよう的確な検査・監督を通じて金融機関の健全性を確保しつつ、経営安定化策を強力に推進するとともに、地方公共団体の公金預金の公益性に鑑み、金融機関の経営状況の把握に不可欠な情報開示の徹底や、情報提供及び相談窓口の設置等について国に要望されるようお願いします。

6 情報通信技術(IT)の進展に対応した
  情報化施策の推進について 
     
 
 わが国では、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)制定以来、ITを中核として日本経済の活性化をはかり、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活を実現することを目標に各種の施策が進められています。
 住民生活に直結する町村としても、行政サービスの電子化は重要な課題であることから次の事項について、国、県の支援をお願いします。
(1)「総合行政ネットワーク」や「申請・届出等手続のオンライン化」にかかる基盤整備およびその運営経費について、積極的な支援措置を講じること。
 また、市町村合併後に重複投資等の無駄が生じないよう、国が整合性のある方針を早急に示すこと。
(2)情報通信技術を有効に活用するため、ITサポート事業等、専門家の養成や、自治体、地域、学校教育等の場において担い手となる人材の育成や情報システムの開発支援(共同開発を含む)など情報リテラシーの向上に向けた施策を積極的に推進すること。
(3)住民、企業等がITの便益を得るためには、ITを活用しやすい環境を整備すること。特に超高速ネットワーク網(光ファイバー、高速無線LAN、ADSLなど)の情報通信基盤整備を促進すること。
 情報通信基盤の整備が民間主導で進められる場合に地域における情報格差(デジタルデバイド)が拡大しないよう情報格差の拡大が懸念される地域に対して、国・県が主導的に情報化基盤整備を実施し、情報通信基盤整備を社会資本整備の一環として位置づけ、市町村への財政的及び技術的な支援を行うとともに民間企業が参入しやすい環境整備をはかること。

7 介護保険対策について
 
 平成12年度開始された介護保険制度は、町村においても重要課題でありますが、介護基盤の整備や介護サービスの提供など財政負担も多額なものとなっております。
 特に介護支援専門員等の人材の育成・確保や町村独自のサービスの提供などに多額の財源が必要であり、小規摸な自治体にとっては、制度の推進上の大きな障害になっております。
 つきましては、介護保険制度の円滑な推進のため、次のような点について改善するとともに十分な財政措置を講じるよう国へ要望されるようお願いします。
 
(1)介護保険料単独減免3基準の各市町村統一について
 各市町村まちまちである介護保険料の単独減免について国民皆で支える介護保険という理念を踏まえ、介護保険料単独減免の基準が統一されるよう国へ要望すること。
 また、介護保険料に係る低所得者の負担軽減策として、賦課段階を所得階層に応じ細分化することにより、低所得者の負担が軽減されることから、介護保険料率の算定に関する基準の見直しについても併せて国へ要望すること。
 
(2)介護保険施設に係る計画値未達成市町村への指導・支援について
 現在、各町村で抱えている施設入所待機者について、既に、第2期介護保険事業計画の施設の計画値を満たしている町村では、ゴールドプラン上の増床の予定はなく、他の計画値未達成町村が施設を増床することにより、施設待機者の数が減少することが期待されています。
 このような、施設入所待機者等を削減するため、計画値未達成町村への積極的な指導及び施設整備への財政支援をすること。
 
(3)グループホームの入所基準の見直しについて
 現在、グループホームの開設要望が各事業者から多々あります。グループホームの入所者については、大半が他町村から移ってくる高齢者であり、この人達が住民基本台帳法に基づき住民票を移した場合当該町村は入所者の保険者となり、保険給付費を負担する義務が生じ、グループホームを有する町村に多くの負担がかかってきます。これにより、必要なサービスであっても、財政上、誘致することが困難な場合が生じてきます。
 つきましては、グループホームを有する町村に多くの負担が生じないよう、入所者について住所地特例を適用する等の入所基準の見直しを国に対し要望されるようお願いします。
 
(4)介護報酬の見直しによる在宅サービスと施設サービスとの調整について
 今年度から介護報酬が改定され、在宅サービスはプラス改定、施設サービスはマイナス改定と在宅サービス重視の改定となりました。しかし、各市町村は多くの施設入所待機者をかかえ、まだ施設サービスへの依存度は高い状況にあります。
 このため、在宅サービスと施設サービスの利用者負担の均衡を考慮した、介護報酬または利用者負担等の総合的な見直しを国に対し要望すること。
 
(5)低所得者に対する介護保険利用者負担額及び介護保険料に係る県助成制度の拡充、創設について
  市町村が独自に行う低所得者に対する在宅介護サービス利用に係る利用者負担額及び介護保険料の減免等について、県の助成制度を拡充、創設すること。

8 国民健康保険財政の健全化対策について
 
 国民健康保険制度は、国民皆保険体制の基盤を成す制度として地域医療の確保と住民の健康保持増進に貢献していますが、幾多の制度改正にもかかわらず、高齢化の進展や、医療技術の高度化等による医療費の増大に加えて高齢者や無職等低所得者の加入割合が高い構造的問題などにより、その運営は年々厳しさを増しています。
 町村においては、保険税の引上げや収納率の向上対策、各種保健事業に積極的に取り組むなど努力をしておりますが、基金取り崩し、一般会計からの法定外繰り入れ等でかろうじて運営を維持しているのが現状です。
 つきましては、町村の国保財政の現状に鑑み、県の国民健康保険特別助成費を大幅に増額するとともに葬祭費の補助対象化及び「その他の保健事業」の補助率を1/3から1/2に増率されるよう要望します。
 また、次の事項について、国に要望されるようお願いします。
 
(1)各種医療保険制度間における公平化を図るため、医療保険制度の−本化を基本として、国の責任において早急に改革を実現すること。
 なお、一本化にあたっては、国民健康保険に負担増とならない高齢者医療制度の創設を図ること。
 
(2)国保財政の健全化及び保険税負担の平準化に資するため、新たな国庫負担措置を講じること。
 なお、国保財政安定化支援事業については引き続き措置すること。

9 福祉対策について
 
(1)知的障害者福祉事務への支援について
 平成12年5月の「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する法律」により、平成15年4月からは、知的障害者福祉事務のすべてが町村に移譲され、これに伴って支援費制度が始まったところでありますが、多くの町村にとって未経験の分野であるためケアマネジメント業務の充実について大変苦慮をしています。
 つきましては、町村が円滑、適切かつ迅速に知的障害者福祉事務が進められるよう次のような支援体制の拡充を図られるよう要望します。
 ア)制度全体に関わる情報の提供
 イ)町村職員等を対象としたわかりやすい研修の実施
 ウ)これまで対象としてきた個々の世帯等の詳細な対応状況の連絡
 エ)煩雑な手続き無しで町村からの要望に応えて現場への経験豊富な職員の対応
 
(2)障害児者支援費の利用者負担額について
 障害者支援については平成15年度から支援費制度へ移行したことにより利用者本位のサービスが行なえるようになりました。しかし、利用者がサービス提供時に支払う利用者負担額について、指定知的障害者更生施設及び指定知的障害者授産施設の入所者については、措置制度では認められていた前年度の生活保護法による入院患者日用品費相当額は、支援費制度移行に伴い必要経費として認定されなくなりました。
 これは、自立を目的に訓練をし、将来的には、在宅等で自立した生活をしようとする入所者の負担を増し、大変由々しき問題であります。
 つきましては、サービス利用者の負担の増大が生じないよう、入所者の入院患者日用品費相当額を必要経費として認定するよう国に対し要望されるようお願いします。

10 少子化対策の推進について
 
(1)子育て支援対策について
  我が国における急速な少子化の進行等に鑑み、次代の社会を担う子供が健やかに生まれ、育成される社会の形成に資するため、次世代育成支援対策を推進するとともに、すべての子育て家庭における児童の養育を支援するため、地域における子育て支援の強化が求められています。
 つきましては、町村に対する新たな財政支援の枠組みの構築をはじめ、子育て支援のための対策を総合的、計画的かつ緊急に推進するよう国に対し要望されるようお願いします。
 
(2)乳幼児医療費の県補助対象年齢の拡大について
  県民意識調査において、県に特に取り組んでほしいことの上位に「福祉・医療・子育て」があり、取り入れてほしい他県の取り組みとして「就学前までの乳幼児医療費無料」があります。
 現在、県内の約2/3強の市町村が単独事業として対象年齢の拡大を行っています。平成14年1月1日の県福祉医療制度改正時に、対象年齢を入院のみ就学前と引き上げた際、県補助を2/3から1/2へ引き下げたため、実質の県補助額は減額となっています。
 国において子育て支援の諸施策を推進している現在に鑑み、乳幼児がより充実した医療を受けられるようにするため、補助対象年齢を入通院とも就学前までに拡大をしていただくよう要望します。
 
(3)保育所整備補助事業について
  女性の社会進出や就労形態の変化等により、子育て支援策に対するニーズも多様化しており、幼稚園の預かり保育の一般化に象徴されるとおり「幼稚園の保育所化」が進む反面、保育所における一時保育などの子育て支援サービスへの対応が求められるなど幼稚園、保育所の役割は変化し、境界が分けにくくなってきています。
 近年の保育所整備費国庫負担は、待機児童解消を図るための保育所の整備を優先させていることから、もともと待機児童が存在しない地方の老朽化した施設の改築整備計画は事業採択されることが極めて困難な状況にあります。
 つきましては、保育所の整備について待機児童の解消のためだけでなく、統廃合や改築工事、あるいは地域における児童福祉施設として多機能化を進める場合についても、優先的補助対象事業としていただけるよう要望します。
 
(4)保育所の充実と放課後児童対策について
  近年、障害児の放課後児童クラブの入所希望児童が急増しております。
 町村では、毎年施設の増改築や保育所の入所枠拡大により対応しておりますが、なお施設の充足ができない状態となっております。
 つきましては、保育所及び児童クラブ施設の建設に対する補助率の見直し、並びに既存児童クラブの増改築についても補助対象とする等の支援と放課後児童健全育成事業費補助金の基準額の増額を要望します。

11 地域保健対策について
 
(1)各種がん検診の補助金について
  町村では、生活習慣病の予防により医療費の増加を抑制するため、多くの住民に受診してもらうよう各種検診事業を積極的に推進しており、受診者は年々増加しておりますが、、がん検診事業に対する国庫補助金の一般財源化による負担が大きくなってきております。
 つきましては、各種がん検診に対する補助制度の設置を要望します。
  
(2)指定特定疾患医療給付制度について
  指定特定疾患医療給付制度における、小児慢性特定疾患の「ぜんそく」は、「有効期間内に継続して1か月以上入院した後の1年間の通院」が給付対象となっております。しかし、1か月以上入院するケースはほとんどなく、1週間前後の入退院を繰り返しその後、継続的に通院するのが現状であり、治療に要する医療費の自己負担が多くなっております。
 つきましては、患者家族の経済的負担を軽減するため、給付条件から「1か月以上入院」を削除するなど実態に即して給付対象を拡大されるよう、重ねて要望します。

12 環境対策について
 
(1)温室効果ガス排出抑制事業助成制度創設について
  地球環境問題、特に温暖化防止対策については、京都議定書の目標達成に向けた有効な対策の導入が不可欠と思われます。
 町村としては温暖化ガスの削減のため主として民生分野における取り組みを促進するために、省エネルギー、ライフスタイルの見直し、また自然エネルギー活用等の促進策を図っているところです。
 つきましては、県として他の自治体に先駆けた太陽光発電システム等の自然エネルギー活用に積極的に取り組むとともに、波及効果の認められる事業を導入展開している町村に対し、支援する制度を創設いただくよう要望します。
  
(2)不法に保管・処分されている産業廃棄物の対策の強化について
  不法に保管・処分されている産業廃棄物の対策につきましては、県において専従グループをつくるなど、市町村、警察と一体となり、一定の成果を上げておりますが、産業廃棄物は監視を緩めるとたちまちゴミの山を形成し、原状回復は困難を極めてしまいます。しかし、処分場の不足と首都圏に立地する条件から県内町村では不法投棄や野積み等の違法行為は増加の傾向にあります。
 これらの問題は一町村で解決できる問題ではなく、また、町村においては専門的知識を有する職員が少ないことや行政指導に限界があることから対応に苦慮しております。
 つきましては、県環境管理事務所の機能をより一層強化するとともに警察との連携を更に進め、産業廃棄物の監視体制を強化、充実されるよう要望します。
 あわせて、産業廃棄物の不法投棄等の不適正処理に対して、結果責任に基づく原状回復義務を排出事業者に課すとともに、土地所有者及び占有者に対する責任の範囲の拡大や責務などについて、罰則強化を含めた、関係法令の改正を国に要望されるようお願いします。
 
(3)浄化槽市町村整備推進事業に係る助成措置について
  河川の水質を保全し住民の生活環境を守ることは、県、町村とも最重要課題のひとつであります。
 河川の水質を保全するためには公共下水道の整備が有効でありますが、公共下水道の設置が困難な地域にあっては、生活排水の処理対策として、浄化槽市町村整備推進事業による合併処理浄化槽の設置が有効なものとなっています。
 つきましては、この事業を推進するため下記のとおり要望します。
 ア 浄化槽市町村整備推進事業に係る下水道事業債償還金に対する県費助成措置を創設すること。
 イ 浄化槽市町村整備推進事業に係る合併処理浄化槽設置費県費補助制度を創設すること。
 ウ 汲み取り式便槽の撤去費県費補助制度を創設すること。
 エ 浄化槽法第11条による検査に対する県費補助制度を創設すること。
 オ 複数世帯で合併処理浄化槽を設置する場合について、浄化槽市町村整備推進事業での補助対象にすること。

13 農林業対策について
 
(1)中核的担い手農家の育成並びに農業後継者対策の促進について
  農業は、生活環境の変化や所得格差の拡大等から、若者の流出や就業者の高年齢化が進行し農業後継者をとりまく環境は誠に厳しい状況を呈しております。
 つきましては、本県農業の健全な発展と農業経営の安定、向上を図るため中核的農家の育成対策を促進するとともに、農業の将来を担う農業後継者対策を積極的に推進されるよう引き続き要望します。
  
(2)農業集落排水統合補助事業補助金の補助率及び補助対象事業費の増額について
 農村地域を有する町村にとって、集落及び農地内の公共水域の水質改善と用水路の機能保全は、緊急の課題であり、その解決には、農業集落排水整備事業が大きな柱となっています。
 しかしながら、補助率及び補助対象事業費枠の大幅な削減は、事業の推進に多大な影響を及ぼし、町村の財政計画の抜本的な見直しを迫り、事業工期の延長を決定せざるを得ない状況となっています。
 つきましては、補助率及び補助対象事業費枠の拡大について要望します。
  
(3)林業の振興対策について
  外材の輸入、建築資材の多様化等の影響を受けて、わが国の森林、林業はまさに危機的状況にあります。
 極度に低迷している山村地域の活力を維持し国土の保全、水源の涵養等の公益的な機能を存続するため、次のとおり要望します。
 ア)主要な林野振興対策である森林の間伐に対し、積極的な財政支援並びに間伐材等県産材の公共施設等における利用促進。
 イ)地域林業の振興と山村地域の活性化を図るための森林管理道整備予算の拡大。
 ウ)荒廃する森林地域の環境とコミニティの保全、整備を図るため、「緑の雇用事業」の推進。

14 教育の振興について
 
(1)不適応児童への生活支援員の配置について
  ここ数年、小学校低学年を中心にLD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)など、いわゆる不適応児童が全県的に増加する傾向にあります。学級担任がこれらの児童への対応に追われ、他の児童に対して十分な学習指導や生活指導をできない実態が報告されております。このため相談員の配置換えにより緊急に対応しましたが、なお、現場からは支援員の配置について強い要望が出ております。
 つきましては、全県的に増加傾向にある不適応児童について、専門家の指導の下できめ細かな適切な支援ができるよう相談員の増員等について強く要望いたします。
  
(2)複数の児童生徒が在籍する特殊学級の介助員配置に対する財政措置の確保について
 障害児のための特殊学級は、在籍する児童が年々増加し、保護者も学区内の小・中学校への就学を希望する例が増えております。
 複数の児童生徒が在籍する特殊学級では、担任が一人で対応しなければならないことから、特殊教育を進める上で、支障が生じる例が生じております。
 つきましては、特殊教育が円滑に進むよう介助員配置に対する補助制度を創設するなど所要の財源の確保をお願いします。
  
(3)要保護及準要保護児童生徒援助費補助金の確保について
 市町村は学校教育法により、経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒の就学のために、必要な援助を行わなければならないことになっています。
 町村における受給者は近年急激に増加しており、これに伴い支給額も大幅に増加しています。
 こうした市町村の行う就学援助に要する経費について、制度上、国は予算の範囲内でその1/2を補助することとなっておりますが、実際の支給額に占める国庫補助金の割合は1/3弱であり、かつ、その割合も年々低下していることから、町村の負担は増加の一途をたどっています。
 つきましては、国に対する要保護及準要保護児童生徒援助費補助金の確保並びに県においては、国に準じた財政支援をお願いします。
  
(4)公立小・中学校の学級編制基準の見直しについて
  公立小・中学校の教員配置については、着実に改善されてきましたが、昨今の犯罪の低年齢化傾向などに対処するためにもゆきとどいたきめ細かな教育を一層推進し、今後、各学校において、特色ある教育課程を編成するとともに、総合的な学習の時間や各教科の指導において、多様な指導形態と指導方法を円滑に導入していくために、教員配置のさらなる改善が求められています。
 こうしたことから、県内においては、小学校1・2年生を対象とした25人学級を実施している市もあるなど、市町村独自の小人数学級が大きく前進しています。
 つきましては、義務教育小・中学校における学級編制の基準を40人から30人程度に改善していただきたく要望します。
  
(5)全ての小・中学校における少人数学級の早期導入について
 平成14年度から、学級編制の弾力化ということで、1学級40人とする学級編制基準は変えず、特例として、市町村委員会の判断で、基準を下回る学級編制が可能となりました。具体的には、小学校1・2年生及び中学校1年生で、3学級以上、1学級あたり38人を超える学年に対して、定数1増の教員配置を行うというものです。
 しかし、町村によっては1学年3学級に満たない小規模校も多く、この制度をうまく生かせない状況がありますので、全ての学校が対象となりますよう学級編制の更なる弾力化を要望します。

5 県道の整備について
 
(1)県道の整備促進について
  県では、県内市町村相互を概ね1時間以内で結ぶ道路網構想や地域の特性を生かした彩の国道路づくりを推進されておりますが、主要地方県道に未整備区間があり、市街地の慢性的な交通混雑をもたらし歩行者及び自転車等の安全確保にも支障が生じております。
 つきましては、主要な県道について道路改良を含めて未整備区間の解消を一層促進されるよう要望します
 特に、主要地方県道は地域間の交流を円滑にさせる重要路線であり、大型車両をはじめ通過交通量が多いため、歩道が未設置の箇所は危険な状態にあります。そこで、交通事故防止により実効性が高い、歩行者と自動車の分離を進めるため県道について歩道の未整備路線の解消を推進されるよう要望します。
  
(2)信号機の設置促進について
  車の増加、道路改良により、交通危険箇所は増加の一途をたどっており、これと比例して交通事故も増加しています。
 交通安全対策のうち信号機設置は県警本部の事業としておこなわれておりますが、新規設置には、時間がかかるので現状であります。
 つきましては交通事故防止のため、住民の設置要望に早急に応えられるよう大幅な予算の増額について要望します。

16 河川の整備について
 
 河川の護岸整備等については、逐次、改良されてきましたが、なお未改良箇所が多く残っており、長年の浸食とあいまって台風や集中豪雨などの大量の降雨によって川岸の崩落や溢水を引き起こす恐れがあります。
 つきましては、危険箇所の解消を図るため、河川の護岸整備等を強化していただきたく要望します。
 また、県南地域は、もともと平坦で低地という地形条件に加え、急激な都市化の影響などにより、集中豪雨時に道路冠水や家屋の浸水などの被害が毎年発生しております。
 各町村においても、様々な対策を講じておりますが、抜本的な解決を図るため、流末の河川改修等による総合的な治水対策にそって一級河川の整備改修を、一層促進されるよう要望します。

17 第59回国民体育大会「彩の国まごころ国体」について
 
 第59回国民体育大会「彩の国まごころ国体」の開催については、「日本一簡素で心のこもった国体」として位置付けられ、経費の縮小、ボランティアによるもてなし、環境への配慮など、彩の国らしい手づくりの国体として、県をはじめとして会場市町村が一丸となり、参加された選手や関係した方々の心に残る大会を目指すものです。
 会場町村といたしましても、経費の節減等に努めてまいりますが、競技によっては、開催地町村の費用負担は大きなものであり、対応に苦慮しております。
 つきましては、今後における本大会の円滑な進捗・運営及び会場地の気運を高める上で、国・県の財政支援の一層の拡大を要望します。

18 土地区画整理事業の推進について
 
 バブル景気崩壊後、長引く景気低迷の中で各土地区画整理事業は、これまでに経験したことのない地価下落により、資金計画に狂いが生じ、事業運営に苦慮しています。特に事業終盤を迎えた土地区画整理組合にあっては、最終的な保留地処分金収入が、これまでに借り入れた事業資金額を満たせず赤字となることが見込まれ、組合員の努力及び現行の制度における市町村からの支援だけでは解決に至らない現状です。
 組合施行の土地区画整理事業は、公共団体施行と同様に公共施設整備事業として機能し、町村のまちづくりに大いに貢献してきており、また、町村と住民との協働によるまちづくりの手法としても有効な手段であると考えられます。
 つきましては、赤字が見込まれる組合施行の土地区画整理事業に対する支援策の検討及びその制度化に向けた取り組みをお願いします。

19 同和対策について
 

 昨年3月をもって「同和対策特別措置法」が失効し、特別対策が終了いたしましたが、環境改善面では相当の成果をあげたものの、結婚や就職などの意識面では依然として差別は根強く残っております。県内においても差別事象が発生している現状にあることから、今後も引き続き同和問題解決に向けた取り組みが必要であると考えられます。
 このような中、市町村が同和問題の解決をめざして実施する啓発事業に対して補助されていた、同和問題啓発費補助金が14年度をもって廃止されました。
 同補助金は事業を進める上で、非常に有効な手段でありますので、県におかれましては、実情をご賢察の上、同補助金を復活されますよう要望します。



平成16年度県予算編成並びに施策に関する要望

※ 要望は、町村共通事項及び郡・町村個別事項で構成していますが、このページでは町村
   共通要望のみ掲載しております。(個別事項についてはお問合せください)
 《町村共通事項》