9 地域保健対策について
 
(1) 精神保険事務の市町村への委譲に伴う財政的・人的配慮について
  今年度から移譲された精神保健事務において精神保健法の中で社会的入院を余儀なくされていた者が、精神保健福祉法への移行により、社会復帰が見込まれました。障害者プランの策定により、町村においては、今後、社会復帰の促進や生活支援のための施設や事業の整備を図ることが必要であり、事務移譲により事務量の増大、有資格者の確保・配置等、負担の増大が予想されます。
 つきましては、事務移譲にかかる財政的支援及び人的配慮(884F社会復帰相談員 8850精神保健相談員 8851家族支援相談員)を再度要望します。
  
(2) 指定特定疾患医療給付制度について
  指定特定疾患医療給付制度における小児慢性特定疾患の「ぜんそく」は、「有効期間内に継続して1か月以上入院した後の1年間の通院」が給付対象となっております。
 しかし、1か月以上入院するケースはほとんどなく、1週間前後の入退院を繰り返しその後、継続的に通院するのが現状であり、治療に要する医療費の自己負担が多くなっております。
 つきましては、患者家族の経済的負担を軽減するため、給付条件から「1か月入院」を削除していただくよう要望します。
  
(3) 乳幼児医療費の支給拡大について
  平成14年1月から県補助制度の見直しが行われ、乳幼児医療費の通院分が4歳未満に拡大されたところでありますが、町村単独補助といたしまして就学前まで支給対象としている町村もあり、対象としていない町村においては、支給対象の拡大を住民要望として強く叫ばれております。
 つきましては、ゆとりのない町村の財政状況の下、住民要望に応えるのが困難でありますので、県補助金の年齢拡大を要望します。
10 生活環境の整備について
 
(1) 家電リサイクル法施行にともなう支援について
  「特定家庭用機器再商品化法」(家電リサイクル法)について、その施行により今後増加が懸念される不法投棄への防止策として、監視体制の整備をはじめ、引取り・リサイクルに係る費用を販売価格に含めることを検討するとともに、不法投棄物の回収は、小売業者、製造業者等の責任で行うこととし、町村が不法投棄物を回収した場合は、その回収費用を製造業者等の負担とするなど、町村の新たな負担とならないよう要望します。
  
(2) 不法に保管・処分されている産業廃棄物の対策の強化について
  不法に保管・処分されている産業廃棄物の対策につきましては、県において専従グループをつくるなど、市町村、警察と一体となり、成果を上げておりますが、産業廃棄物は監視を緩めるとたちまちゴミの山と化し、原状回復は困難を極めてしまいます。処分場の不足と首都圏に立地する立地条件から町村では不法投棄や野積み等の違法行為は増加の傾向にあります。
 これらの問題は一町村で解決できる問題ではなく、また、町村においては専門的知識を有する職員が少ないことや行政指導に限界があることから対応に苦慮しております。
 つきましては、県環境管理事務所の機能をより一層強化するとともに警察との連携を更に進め、産業廃棄物の監視体制を強化、充実されるよう要望します。
 あわせて、産業廃棄物の不法投棄等の不適正処理に対して、結果責任に基づく原状回復義務を排出事業者に課すとともに、土地所有者及び占有者に対する責任の範囲の拡大や責務などについて、罰則強化を含めた、関係法令の改正を国に要望されるようお願いします。
  
(3) 流域下水道の整備について
  都市基盤整備及び快適な生活環境整備のため下水道整備計画を策定し、地区ごとに公共下水道及び農業集落排水事業等の方法により下水等の処理を計画しております。
 しかし、近年の大変厳しい経済状況のなか、事業実現には、多大な財源を必要とし、また終末処理場の位置の問題やランニングコスト等、より効率的な下水道整備のあり方を勘案いたしますと、流域下水道の方法が、最も適しているものと考えております。
 下水整備は、都市農山村を問わず必要不可欠な事業であり、早期に実現に向けて、是非とも流域下水道区域の拡大の為の整備を推進して頂き、流域関連公共下水として整備されますよう特段のご配意を賜りたく要望します。
  
(4) 特定地域生活排水処理事業に係る助成措置について
  河川の水質を保全し、住民の生活環境を守ることは、県、町村とも最重要課題のひとつであります。
 河川の水質を保全するためには公共下水道の整備が有効でありますが、公共下水道の設置が困難な地域にあっては、生活排水の処理対策として、特定地域生活排水処理事 業による合併処理浄化槽の設置が有効なものとなっています。
 つきましては、この事業を推進するための次の助成措置を要望します。
ア)特定地域生活排水処理事業に係る下水道事業債償還金に対する県費助成措置
イ)特定地域生活排水処理事業に係る合併処理浄化槽設置費に対する県費補助制度の創設
ウ)単独処理浄化槽及び汲み取り式便槽の撤去費に対する県費補助制度の創設
11 農林業対策について
 
(1) 中核的担い手農家の育成並びに農業後継者対策の促進について
  農業は、生活環境の変化や所得格差の拡大等から、若者の流出や就業者の高年齢化が進行し農業後継者をとりまく環境は誠に厳しい状況を呈しております。
 つきましては、本県農業の健全な発展と農業経営の安定、向上を図るため中核的農家の育成対策を促進するとともに、農業の将来を担う農業後継者対策を積極的に推進されるよう引き続き要望します。
  
(2) 農業集落排水事業の採択について
  県では、生活環境の改善を図り、併せて農業用水の水質汚濁を防止するため農業集落排水事業に積極的に取り組んでおります。そのため、農業集落排水事業の実施単位となる各処理区においては、既に事業実施に向けた関係者の合意形成が図られ、早期の事業着手を待つ状況であります。しかし、国庫補助事業の農業集落排水事業に係る採択基準が変わり、現在では採択の見通しが付かない処理区が多数存在しています。
 つきましては県単独補助事業である彩の国ふるさと集落排水事業による新規事業採択、並びに継続事業の財源を確保されるよう要望します。
 あわせて、国庫補助事業の農業集落排水事業について、町村が必要とする事業量の確保及び採択基準の見直しについて国に要望されるようお願いします。
  
(3) 林業の振興対策について
  外材の輸入、建築資材の多様化等の影響を受けて、わが国の森林、林業はまさに危機的状況にあります。
 極度に低迷している山村地域の活力を維持し国土の保全、水源の涵養等の公益的な機能を存続するため、次のとおり要望します。
 ア)主要な林野振興対策である森林の間伐に対し、積極的な財政支援並びに間伐材等県産材の公共施設等における利用促進。
 イ)地域林業の振興と山村地域の活性化を図るための林道整備予算の拡大。
12 教育の振興について
 
(1) 義務教育施設等の整備促進について
  わが国の将来を担う子どもたちを時代の進展に即応し、心身ともにたくましく育成するため、安全かつ快適で特色ある教育環境づくりが重要であります。
 つきましては、次の事項について国に要望されるようお願いします。
 ア)義務教育施設等整備事業については、町村が必要とする事業量を確保するとともに、財政措置を拡充すること。
 イ)学校給食については、地域の実情に即した給食施設及び設備にかかる財政措置を充実するとともに、米飯給食に対する財政措置を講じること。
 また、集団食中毒対策の充実・強化をはかること。
 ウ)学校図書館図書の整備に対する財政措置の充実をはかること。
 エ)小中学校等にかかる現行の放送受信料免除措置を継続すること。
 オ)総合的な学習の時間の実施にあたり地域や学校が創意工夫を生かした特色ある教育を展開できるように所要の財政処置を講ずること。
  
(2) 学校施設の耐震補強及び大規模改造事業について
  学校施設(校舎及び屋内運動場)は、築20年を超えるものが多く存在し、児童・生徒の安全確保と学習環境を考えますと、施設の耐震化及び老朽化対策が急務となっています。
 つきましては、これらの事業に対する自主財源負担は、多大となることから、施設整備に対する補助対象経費の拡大、国庫補助率の引き上げ及び既存施設改修に係る予算枠の拡大について、国に要望されるようお願いします。
  
(3) 生涯学習等の振興について
  人々がいつでも、自由に多様な学習機会を選択して学ぶことができ、心にゆとりと潤いのある生涯を送れるようそれぞれの地域の実情にあった生涯学習推進体制を整備する必要があります。
 つきましては、次の事項について国に要望されるようお願いします。
 ア)生涯学習振興事業及び、生涯スポーツの普及振興事業については、町村が必要とする事業量を確保するとともに財政措置を充実すること。
  イ)史跡等文化財保護に対する財政措置を充実すること。
  
(4) 公立小・中学校の学級編制基準の見直しについて
  公立小・中学校の教員配置については、数次にわたる教職員定数改善計画により着実に改善されてきております。
 しかし、今後、各学校において、特色ある教育課程を編成し、総合的な学習の時間や各教科の指導において、多様な指導形態と指導方法を円滑に導入していくためには、教員配置のさらなる改善が必要であります。
 そうした中、県内においては、小学校1・2年生を対象とした25人学級を実施している市もあり、市町村独自の小人数学級が大きく前進してまいりました。
 つきましては、ゆきとどいたきめ細かな教育を一層推進するために、義務教育小・中学校における埼玉県教育委員会の学級編制の基準を40人から30人に改善していただきたく要望します。
  
(5) 幼稚園と保育所の連携の推進について
  保育所と幼稚園は、目的、機能が違いながらも相互のカリキュラムを取入れた保育の実施により差異がなくなっているのが現状であり、また、両施設を持つ自治体では、就学前の教育・保育を行う場という共通の考えのもと、少子化や多様な保育ニーズに対応していくため、新たな幼児教育を模索しています。
 このようなことから、今後の幼児教育の充実のために文部科学省と厚生労働省の連携の強化と、幼稚園・保育所の連携事例集の作成など、情報提供の一層の充実を国に要望していただくとともに、県においても幼稚園・保育所の連携についての研究を進めていただくよう要望します。
  
(6) 公立小・中学校教諭の兼任発令について
  町村によっては、各小・中学校の学級数が2から3のため、小学校の音楽専科教諭や中学校の音楽・技術専科教諭の持時間数が、他の教科教諭に比して少ない状況にあります。
 現状において、一人の専科教諭が他校の専科を併せ受け持つことが可能であり、それにより削減された教諭枠に子供たちの実態や地域の実情に応じた教員を充てることで、特色ある教育活動やそれぞれの学校が抱える課題の克服が図れるものと思われます。
 また、小中一貫教育の面においても、兼任発令により、各小・中学校の連携が一層強化され、9年間を見通した学習指導の充実にも寄与でき、さらに学校間の教育活動の連携と共同展開を進めることも期待できるものと考えます。
 つきましては、義務教育小・中学校間における専科教諭の兼任発令をしていただきたく要望します。
13 県道の整備について
  県では、県内市町村相互を概ね1時間以内で結ぶ道路網構想や地域の特性を生かした彩の国道路づくりを推進されておりますが、町村間を縦横する主要地方県道に未整備区間があり、市街地の慢性的な交通混雑や歩行者及び自転車等の安全確保の面から整備が急務であります。
 特に、主要地方県道は地域間の交流を円滑にさせる重要路線のため、大型車両をはじめ通過交通量が多く、歩道未設置のところは危険な状態にあります。
 つきましては、これら歩道の未整備路線の早急な解消を図るとともにガードレールや信号機の設置など交通安全施設を更に充実されるよう要望します。
14 河川の整備について
  河川の護岸整備等については、逐次、実施していただいておりますが、未改良箇所も多く、台風や集中豪雨などの大量の降雨によって川岸の崩落や溢水を引き起こす恐れがあります。
 また、長年の浸食により危険な箇所も見受けられます。
 つきましては、危険箇所の解消を図るため、河川の護岸整備等を実施していただきたく引き続き要望します。
15 第59回国民体育大会開催に伴う支援について
  平成16年に開催される第59回国民体育大会まで、残すところ2年となり、会場地市町村の準備も鋭意進めているところであります。
 全国から来県される選手・監督をはじめ、大会関係者の皆様を温かく迎え、大会を成功させる必要が不可欠でありますが、関係諸施設の整備、競技会場の整備等、いろいろな問題が生じております。
 国体開催費に対する県からの財政支援について、検討中との説明をいただいており、未だ補助金等に関する詳細な提示がなされておりません。
 つきましては、リハーサル大会を含めた大会開催費について、財政支援していただくとともに、補助基準や補助率等について、早急に示していただきますよう要望します。